それは、あなたがスタッフの方々に「この人、この会社のために努力しても、どうせ報われないから」と思わせているせいかもしれません。
いつも努力しているのが当たり前、いつも頑張っているのが当たり前・・・
いわゆる「できる」経営者・事業主ほど、そんなパワフルな信念を持って日々の仕事に取り組んでおられますが、
そんな経営者・事業主のために働いている人たちが、まったく同じ信念を持っているとは限りません。
その微妙なズレが、仕事に取り組む姿勢にも、影響を与えます。
いつも努力しているのが当たり前と考えている経営者には、「こんなに努力しているのに、まったく認めてもらえない・・・」と考えているスタッフの気持ちが分かりません。
そんなズレが、「頑張っても、どうせ報われない」という思い込みを生み出します。
そして、遅かれ早かれ、そのような思い込みが、思い込みを持つ本人だけでなく、組織に対しても大きなダメージを与えます。
僕自身が、そんな超ネガティブな思い込みにとらわれていたことを、個人的に尊敬している方々の文章を読んで、気づかされました。
まず、作家・プロブロガーの立花岳志さんのnote有料記事。
そして、書籍『「3つのF」が価値になる!』関連記事でもご紹介した、「ハッピー」さんこと橋本亨さんのブログ記事です。
ワンランク上のステージや突き抜けるために必要なこと
https://ameblo.jp/happy0909/entry-12357203766.html
なぜ「頑張っても、どうせ報われない」と思い込むのか
僕の場合、この思い込みは、会社勤めをしていた時期につくられたものです。
何年も何年も、その思い込みを裏付けるような出来事が起こり続け、
と言うか、そんな出来事を自ら引き寄せていたことで、思い込みが無意識レベルにまで刻み込まれていました。
例えば、あるメーカーに勤めていたとき、
僕はアメリカ子会社の経理・財務責任者として働いていました。
もともと、社内の重要ポジションは営業部門の出身者が占めていた会社で、経理・財務担当は一段下(どころか、数段下)に見られるような、
ある意味で「社内カースト制」のような文化がありました。
当時は経理・財務の仕事だけでなく、他の駐在員の受け入れ準備や、ご家族に関する庶務的なこともやっていたので常に仕事は山積みで、
朝8時半から深夜まで、時には午前2時、3時まで働いたり、
数ヶ月間、週末・祝日も休まず働いていたこともありましたが・・・
誰よりも長い時間働き、営業出身の社員にはできない仕事で実績を上げ続けていても、
僕自身は、駐在員の中では昇進・昇格が遅い状況でした。
経理・財務担当という、商品1つさえ売らない職種ですから、それはまだ容認できたとしても、
直属の上司に「いつもお疲れさん」という言葉すら、かけてもらった記憶はありません。
「体力、精神力の限界を超えて働き続けても、労いの言葉さえないのか・・・」
結局、そんな環境でも7年間がんばりましたが、最後には燃え尽きてしまい、その会社を辞めました。
他にもありますが、書いていて愉快になるストーリーではないので(笑)これぐらいにしておきます。
たった「一言」で救われることもある
まぁ、僕の場合は、ちょっと極端な例なのかもしれません。
「いつもお疲れさん」という言葉すらかけたくないと思わせるほどに、当時の僕の態度が悪かったり、人間性に問題があったのかもしれません。
「誰からも認められなくても、努力を続けるのがプロフェッショナル」という見方もあるかもしれません。
ただ、これからビジネスを大きくしていこうという意欲に満ちた経営者・事業主の方々が、
ちょっとした認識のズレで、
ひたむきに努力を続けているスタッフのことを、見殺しにしているような状況を見ると、本当に「もったいない」と感じるのです。
「いつもありがとう」という一言だけでもスタッフが救われた気分になり、モチベーションが高まることもあるのです。
そんな一言でも、スタッフの突然の退職を避けたり、スタッフが精神的に病んでしまうことを防ぐことができるのです。
それなのに、少なくない数の「できる」経営者・事業主が、スタッフへの労いの言葉を「出し惜しみ」しています。
まるで、大幅な昇給を行うのと同じくらいに・・・(笑)
さて、
あなたのために働いている人たちや、あなたのビジネスパートナーに、
「この人のために、この仕事をやってきて良かった」
「この会社のために、努力してきてよかった」と思ってもらえるために、
あなたができることは何ですか?
神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。