「多読」より「精読」:本はたくさん読まなくていい!?

アイデア

 

本を読んで得た知識は薄っぺらいけれど、自ら体験したことには重みがあります。

その重みのある体験こそが、他の人たちに提供できる価値です。

 

「情報発信をするためには、まず本をたくさん読んでインプットを増やすことが大事」

ということを仰るコンサルタントさんやソーシャルメディアの専門家さんは多いのですが、

こういうアドバイスを受けた人たちの中には、

インプットすることが情報発信を行うという「目的」を果たすための「手段」ではなくて、

「本を読んで知識をインプットする」ことが「目的」になってしまっていることが多々あります。

 

元々のアドバイスがもっと具体的なら、こういう混乱は起こりにくいのかもしれません。

例えば:

「本の内容についてブログを書く」という目的を持って、本を一冊読もう。

読んだらすぐに、自分が学んだことや、自分の感想、本の中に書かれていたことで

これからやってみたいことについてブログ記事を書いて、投稿しよう

のように。

 

実は、

本をたくさん読んで知識をインプットしても、そのままでは情報発信という「アウトプット」にはつながりません。

私たちの脳は、情報をインプットしたら、自動的にアウトプットに値する情報が浮かんでくるというような、単純なものではありません。

むしろ、情報のインプットに喜びを感じれば感じるほど、

まったく違う思考パターンを要する(ゆえに、脳にとっては負担のかかる)情報のアウトプットという行動を

先送りしようとする意識が働いてしまいます。

 

だからといって、

インプットした内容をそのままコピー&ペーストするかのようにアウトプットしていても、

読む人にとっては退屈でしかありませんし、

読者の中には「この人の書いてることは、◯◯さんが言っていることの受け売りじゃないか」と、すぐに見抜く人たちもたくさんいます。

 

インプットしたことをそのまま伝えるという、薄っぺらい情報発信をしがちな人たちは、

そもそも「読者は賢い」ということを忘れています。

自分の情報発信を読む人たちの知性を、過小評価してしまっているのです。

 

そんな「賢い」読者の方々が、読んでいて楽しい、役に立つと感じるのは、誰かの知識の受け売りではなくて、

あなた独自の「モノの見方」であり、あなただけの「ユニークな体験」です。

本を一冊読んで、そこから学んだこと、感じたことをブログで発信するという、一見して何気ないことであっても、

そこにははっきりと、あなたの「モノの見方」が反映されますし、

本を読んで実践したことをブログで発信するということは、

あなたの「ユニークな体験」を世界とシェアしていることにほかなりません。

 

本を読むことは、知識を溜め込むことが目的ではなくて、

あなたの「モノの見方」を明らかにして、あなただけの「ユニークな体験」をするきっかけを得ることです。

さらに言えば、たくさんの本を読む必要もありません。

内容の薄い本を次々とたくさん読むよりも、

内容の濃い本を、何度も何度も読み返すほうが、より貴重なことを学べます。

 

読み返すことで、前回その本を読んだときから、あなたの「モノの見方」がどう変わっているのかを知ることができますし、

その変化自体が、あなただけの「ユニークな体験」にもなります。

さらに、本を読み返した後に、また何かを実践してみることで、前回には気づかなかったこと、分からなかったことが学べるかもしれません。

それももちろん、あなただけの「ユニークな体験」です。

 

一番最初のアドバイスを「正しく」言い換えるなら、こうなります。

「情報発信をするためには、あなたのモノの見方を磨き、ユニークな体験を増やすことが大事」

そのために「本を読むこと」が役立つのなら、本を読めばいいですし、

別に「本」じゃなくても、あなたのモノの見方を磨き、ユニークな体験を増やしてくれるものは、この世界にたくさんあります。

あなただけの価値を、あなた独自のやり方で、育ててみてください!

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。