常識破りの映画『スリー・ビルボード』!「人とは違う」ストーリーテーリングとは?

アイデア

 

ソーシャルメディアでも話題になっている映画『スリー・ビルボード』を今日、観てきました。

 

『スリー・ビルボード』予告編 | Three Billboards Outside Ebbing, Missouri Trailer

 

元々は今日、この映画を観に行く予定はなかったのですが、

以前から注目している経営者が、この映画を絶賛するブログ記事を書いていたのをランチタイムに読み、

居ても立ってもいられなくなり、スケジュールを調整して映画館へ駆けつけました。

 

(これも、マスメディアではなく、

影響力のある人のソーシャルメディアでの発信で消費行動が起こるという、

これからのマーケティングのあり方を示していますね!)

 

映画の内容は・・・あえてここでは触れませんが・・・

(ちなみにウィキペディアでは既に、すべてのストーリーがネタバレしています)

 

この映画が話題になっているのは、

舞台となっている、保守的で閉塞的なアメリカの小さな町の描きかたに端的に示されている

ストーリーの重さ」、

そして観終わったときの独特の「余韻」にあると感じました。

 

大作映画にありがちな、いわゆるフツーのストーリー展開を(暗に)期待していたら、

劇中から次々と裏切られ続けますし、

エンディングでも一瞬、「えっ?これで終わり?」と混乱します。

登場人物同士の関わりでも、腑に落ちるような形で描き切られていない部分があります。

物語の最後まで回収されていない伏線もあります。

 

これだけ聞くと、駄作のように思えるかもしれませんが、

いつかどこかで観たような映画だなぁという「既視感」はまったく感じさせず、

その意味では、

いまこのタイミングで、観に来てよかったと思える映画でした。

 

なぜ「このタイミング」なのか?

 

昨日の記事でも書いたように、

現在は、どんなに真剣に、誠実に取り組んでいても、

「人と同じこと」をやっていては、話題にすら上らず、注目されることも難しい、

ある意味でとても残酷な時代です。

 

他の人たちへ、何らかの影響を与えようと思ったなら、

たとえ、どんなに小さなことであっても、

自分にしかできないことをやり、

自分にしか言えないことを言い、

自分にしか作れないものを作ることが求められます。

 

そして、それを可能にするインフラは、

インターネットとテクノロジーの発展で、

数十年前には考えられないほどの低コスト(あるいは、タダ同然)で手に入る時代でもあります。

 

誰もが映画を作り、YouTubeで公開できる時代です。

誰もが小説を書き、Amazonで電子書籍を販売できる時代です。

誰もがアートを創り、Instagramをギャラリーにして、作品を販売できる時代です。

 

誰もがクリエイター、誰もがアーティストになる時代です。

ビジネスに関わっている人であったとしても、

世界に、これまでにはなかった何らかの価値を生み出しているという意味では、

クリエイターであり、アーティストです。

 

でも、何かと同じ、あるいは誰かと同じでは、

つまり、「既視感」を与えるような内容では、他の人たちの感情を動かすことはなく

その結果、注目されることもありません。

 

何かが決定的に違っていることが欠かせないのです。

駄作だと、言わせたい人には言わせておけばいいのです。

誰かに駄作だと言われても、他の誰かのココロを揺り動かすものであればいいのです。

賛否両論あることが「正解」なのです。

 

映画『スリー・ビルボード』も、

これまで常識とされてきたストーリーテリングの手法を踏まえ、

その上で、大胆に無視しているという、「賛否両論」を招く映画であるからこそ、

感性の高い人たちを中心に、大きな話題になっているのだと思います。

 

個人的には、『スリー・ビルボード』は、

「凄い」と思わされる映画ではありますが、

観終わった後に大きな「感動」がある映画とは言えません。

私自身、この記事のこの部分を書いている時点で、

映画を観終わってから2時間が経過していますが、

まだ心の中に、モヤモヤとした、すっきりしない感情が残っています。

 

しかし、現代において「他とは違う」もの

それゆえに「他より注目される」ものを創り出していきたい方々には、

スリー・ビルボード』は、一見をオススメしたい映画です。

 

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。