「人と違うことをやってはいけません!」
高度成長時代の余韻が残るなか、生まれ育った僕たちの世代は、
多かれ少なかれ、「他の人たちと同じように行動する」ことが良しとされる教育を受けてきました。
しかし現在は、
「他の人たちと同じように行動する」ことでは、もはや価値を見出してもらえない時代になっています。
いつでも代わりのきく存在ではなく、代わりのきかない唯一の存在でいることが、
SNSが興隆し、人工知能が発達を続ける現代において、
良しとされる人材の条件なのです。
20世紀の偉大なジャズ・プレイヤーの1人、マイルス・デイヴィスは、
とても裕福な家庭で育ち、世界で最も優秀な音楽大学の一つであるジュリアード音楽院に通っていましたが、
ある日、音楽院を退学し、アルトサックス奏者のチャーリー・パーカー率いるバンドで演奏することを決めました。
その決意を父親に伝えたとき、
父親はそれを認めただけでなく、こうアドバイスしたそうです。
「マイルス、外で鳴いている鳥が聞こえるか?
あれはモッキンバード(マネシツグミ)だ。
モッキンバードは自分の鳴き声を持たなくて、他の鳥の鳴き声を真似てばかりいるのさ。
お前はそんな風になりたくないだろう。
だから、誰かのようになるんじゃなくて、自分自身になるんだ。
お前は自分がやるべきことをわかってるだろうし、俺はお前の判断を信じてるさ。」
父親からの精神的、そして経済的な後押しを受け、
トランペット・プレイヤーとして名声を得たマイルス・デイヴィスは、
その後も「自分の音」を追求し続け、
それまでのジャズの常識や伝統を破る音楽を創り続けて、
20世紀を代表する音楽家にまで上り詰めていきました。
この逸話が、21世紀を生きている私たちに伝えてくれることは、とてもシンプルです。
「もう、人と同じことをやってはいけない」
「自分」は、この世界に1人しかいない存在であることを受け容れて、
人と同じことはやらないし、
なにかをやるなら、人とは違うことをする。
そういう生き方を選べるか、選べないかで、
21世紀は、チャンスに溢れた時代になるか、あるいは夢も希望も持てない時代になるかが、決まってしまう。
僕たちはいま、そんなターニング・ポイントを迎えています。
神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。