半年以上前になりますが、「割れ窓理論」についてのブログ記事を書いていました。
「割れ窓理論」とは、治安悪化の初期段階としてみられる「壊れている建物の窓がそのまま放置されていることで、この地域には誰も関心を持たず、注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓も全て壊されてしまう」という現象から名付けられた考え方です。
小さな問題を放置すると、いずれは凶悪犯罪のような大きな問題が引き起こされてしまう。であれば、まずは小さい問題から片付けていくことで、大きな問題を解決に向けることができるはずだという、仮説です。
実験すると…(実際には、やらないでください!)
この理論、私たちの身近なものの例として、「自転車のカゴ」があります。
人通りが多いところで駐輪されている自転車のカゴに、空きカンとか紙くずなど、明らかな「ゴミ」を一つ入れておきます。
すると、通りかかった人たちの中から、そこにゴミを入れる人が現れてきます。
カゴの中のゴミが増えれば、さらにゴミを入れる人が増えてきます。自転車を半日も置いておくと、カゴはゴミでいっぱいになります。
ゴミの入った自転車のカゴは、通りかかった人たちに「ここには、ゴミを入れてもいいんだ」と思わせてしまうのです。
見た目はごまかせても…
昔、「帰宅時には、机の上に何一つ残さずに片付けること」という社内ルールが存在する会社に勤めていたことがあります。
仕事ができる人は整理整頓もキッチリしていて、机の上もキレイだから・・・という趣旨。
机の上が乱雑になっていれば、仕事もできなくなるという、一見「割れ窓理論」的な考え方です。
しかし、現実には、机の上をキレイにしていても、(たいへん失礼な言い方ながら)仕事があまりできない人というのは、それなりの割合で存在しています。
そういう人の机の引き出しを見てみると、まず例外なく、グチャグチャになっています。使っていない文房具とか、何年もそこに置いてあるっぽい書類とかが、雑然と入っています。
見た目はキレイにしていても、他の人たちの目には見えないところに「割れ窓」があったのです。
「割れ窓理論」でステップアップ
「仕事ができる人」の定義は人それぞれですが、その要素の一つとして、「溜め込まない」ことがあると感じています。
仕事を溜め込まずに次々とスピーディにこなすことは、当たり前です。
仕事ができる人は、それに加えて、自分の知識や仕事のやり方、仕事道具などの「たな卸し」をして、要らなくなったものを捨て、アップデートが必要なものは最新情報を仕入れ、自分に欠けているものは学ぶ・手に入れるということを、定期的にやっています。
つまり、自分の世界に生じている「割れ窓」の存在をチェックして、それを修復しているのです。
あなたは今日、どの「割れ窓」を直しますか?
神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。