ビジネスでも、プライベートでも、モノゴトが行き詰まったとき、
その状況を打ち破るカギは、ひとつしかありません。
それは「考える」こと。
行き詰まって不安や恐れを抱いているときには、焦って「行動」しがちなのですが、
それまでと同じ行動パターンを繰り返しても、結果が劇的に変わることはありません。
これまでとはまったく違うことを試し、そこから学ぶという経験を通じてはじめて、行き詰まりを脱するヒントが得られます。
実は、これまでモノゴトが順調に進んできた人ほど、「考える」ことから遠ざかっていることが多いのです。
例えば、ビジネスの例で言うと・・・
会社勤めのかたわら、会社には内緒で、自分が情熱を持って取り組めることで副業を始めた。
お客さんが順調に増えてきて、生活に困らないほどの収入が安定して得られるようになったので、会社勤めを辞めて副業を本業にした。
本腰を入れてビジネスに臨むようになってから、売上も利益も急上昇し、スタッフを雇えるようにまで成長した。
数年経って、事業の成長がスローになり始めて、思うようにモノゴトが進まないような状況も増えてきた。
原因を調べてみると、ライバル会社が次々と似たようなサービスを始めていて、お客さんがそちらに流れているようだ。
これはマズいと思い、友人の経営者に相談したり、異業種交流会に顔を出してアイデアを得ようとするけれど、誰もが同じような悩みを抱えている。
いろいろと話はするものの、最後には決まって「苦しいことも多いけど、諦めずにがんばっていこう!」という精神論だけで終わってしまう・・・
周りの環境が変わって、以前のやり方が通用しなくなってから始めて、自分が同じパターンを繰り返していたことに気づきます。
しかし、何か新しいことを試そうとしても、アイデア自体が出てこない、
あるいは、アイデアが出てきても、これまで慣れ親しんできたやり方のほうが良いように思えてしまい、試すことができない。
この2つ、「アイデアがない」ことと「アイデアを試さない」ことこそが、モノゴトを行き詰まらせる最大の原因なのです。
そんな状況に陥ったときにこそ学び、試す価値があるのが、企画を生業としている方々の「発想法」です。
それまでの延長線上の思考から離れて、前例にとらわれず、大胆なアイデアを出すやり方を知ることが、閉塞感から抜け出るカギになります。
例えば、この本。
私が10年以上、何度も読み返している愛読書です。
発想法について書かれた本は、単に読むだけでは何の効果もありません。
読みながら、紙と鉛筆(またはペン)を使って、実際に自分自身のアタマで「発想」することで初めて、理解のプロセスが始まります。
さらに、出てきた発想を試して、その結果を踏まえて、さらに発想に磨きをかける・・・というサイクルを回し続けることで、
本に書かれている発想法が、本当に自分のものになります。
最初のうちは、出てくるアイデアもいまいちで、実践しても期待通りの結果が出ないことが多いですが、
発想→実践→発想→・・・というサイクルを回し続けているうちに、行き詰まっていたモノゴトが、少しづつ動き始めてきます。
閉塞感が薄れてきて、アイデアを出し、試すことが楽しく、面白くなってきます。
モノゴトが前進し始めるにつれて、これまでに経験したことのない課題や問題にも出会いますが、
それらを発想と実践で切り抜ける経験を積み重ね、自信が湧いてきます。
そして、知らず知らずのうちに、「発想と実践のエキスパート」へと進化していきます。
不安や怖れによって引き起こされた行動は、さらなる不安と恐れを生み出すだけです。
不安と怖れを手放すためには、まず、自分自身に「考える」チカラがあることを思い出すことが大切です。
誰もが素晴らしいアイデアを考え出すチカラを持っています。
ただ、筋肉と同じように、普段から意識して鍛え続けていなければ、いざという時にそのチカラを発揮できないのです。
そして「考える」チカラには、限界はありません。
鍛えれば鍛えるほど、伸びていきます。
まずは、自分にどれだけの「考える」チカラがあるのかを知ることから、始めてみるのが良いかもしれません。
神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。