文章を書く苦痛と、ダニエル・ピンクの教え

発想

 

8月ごろから、文章を書こうと思っても、なかなか言葉が出てこないという状態が続いていた。

 

仕事関係の報告書みたいに、自分の想いや感情を入れなくてもいい文章はスラスラ書ける。

そこで求められているのは事実であり、ロジックだけであって、それを操ることは自在にできる。

 

でも、ブログやフェイスブックで、自分の感情や考えを表現する文章を書くことが、むずかしいと感じるようになった。

仕事関係でも、企画書・提案書のように、自分の信念や価値観をしっかりと押し出すことが求められるものを書くことを、苦痛に感じるようになった。

 

昔の企画書や、過去に書いたブログ記事をあらためて読み返してみて、「面白くないなぁ」と自己認識したことも一つの理由。

見方を変えれば、それは成長の証なのかもしれないけれど。

やっぱり自分が書いたものが面白くないと認めることは辛い。文章を読んでもらった人にも、申し訳ない気持ちになる。

 

海外ビジネスの経験談を自伝風に書き続けていて、当時の辛い経験=トラウマを踏んでしまい、もうこれ以上は書きたくない・・・と気分が塞ぎこんでしまったのもある。

トラウマが蘇るかもしれないってこと、そのテーマで文章を書き始めたときから覚悟していたつもりだけれど。

実際に出てくると、あっさりと尻込みしてしまった。

 

どこかで逆襲して、このトラウマを成仏させないと・・・

 

で。

 

こうやって、あらためて自己表現するための文章を書こうとしても、書いては消して、書いては消してということを繰り返していて、なかなか進まない。

 

どこかで、文章の読み手に対する甘えがあるのかもしれない。

読んでもらいたい。面白いと思ってもらいたい。できるなら、コメントを返してほしい・・・

 

でも、それじゃ、ダメだ。

 

読み手に甘えているようでは、言葉で何かを伝えていく資格はない。

読まれようと読まれなくても、受け容れられようとも拒絶されようとも、無視されようとも、価値があると自分が信じるものを書き続けたい。

 

なんて考えていたとき、アメリカのベストセラー作家、ダニエル・ピンク氏が発行しているメルマガで「書くための6つのコツ」というコラムを読んだ。

 

<6つのコツ>

  1. とにかく書く。書きたくないときも・・・むしろ、書きたくないときほど、書く。
  2. 毎日書く。いったん書くのを止めると、再び書き始めるときには、書き続けているときの3倍のエネルギーが必要になる。
  3. 500語書き終わるまで、他のことはしない。(英語の500語は、日本語では2500~3000文字くらいの感覚)
  4. 身体を動かす。面白いネタは階段を登っているときや、外でジョギングするときに浮かんでくるもの。
  5. 下書きができたら、誰か他の人に大きな声で読んでもらう
  6. 黙々と一人で書くことも、ソーシャルな活動だと肝に銘じておく。読み手に対する約束を果たす。

 

ダニエル・ピンク氏は、作家としてデビューする前は、アル・ゴア元アメリカ副大統領の主席スピーチライターを務めていた、文章を書くことのプロフェッショナル。

そんな筋金入りのプロが言う「書きたくないときほど、書く。毎日書く。書き終わるまで、他のことをしない。」というセリフは、シンプルだけど、凄みがある。

 

プロでもなんでもない、凡人の僕が、「言葉が出てこない、書けない」なんて言ってる場合じゃない。

「昔のトラウマが・・・」なんてヘタレなことを言ってては、なにも始まらない。

駄文でもなんでも、ひたすら書き続けて、世に出し続けなければ、なにも起こらない。

自分の価値観と、信念と、世界に発信したいコンセプトを、どんなに拙くても、どんなに苦しくても、自分のコトバとして発信しなければ、なにも変えられない。

 

たとえ人数は少なくても、自分の文章を読んでくれている人たちのために、書き続ける。

自分の想いを伝えたい人たちのために、書き続ける。

ちっぽけな「可能性」を、大きな「現実」に変えるために、書き続ける。

 

そんなシンプルな行動の積み重ねだけが、次のステージに連れて行ってくれる、はず。

明日も、明後日も、毎日毎日、真っさらなスクリーンと向き合ってみる。

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。