成功につながるアイディアは、どこに転がっているか分かりません。
「5語」で成功した人
アメリカのリング・アナウンサー、マイケル・バッファー。
彼は、たった5語のフレーズで、世界を代表する存在になりました。
「Let’s get ready to rumble!」(戦いの準備はいいか!)
これ無しには、ボクシングの世界タイトルマッチでさえも、味気なくなるほどです。
模索を続ける日々
マイケル・バッファーは、もちろん、最初からこのフレーズを使っていたわけではありません。
自宅のTVでボクシングの試合を観ていたとき、子供から「パパにもできるんじゃないの?」と言われて始めたリング・アナウンサーの仕事。
元々モデルの仕事をしていて、美声の持ち主でもありましたが、それだけで成功できる世界ではありません。
キャリアの初期は、観客の注意を引くための、印象的なフレーズを探し求める日々が続きました。
- Fasten your seat belts!(シートベルトを締めろ!)
- Man your battle stations! (戦闘配置に就け!)
- Batten down the hatches!(戦いに備えろ!)
いろいろと試してはみるものの、いずれも観客の反応は悪く、本人もフラストレーションが溜まっていきます。
チャンピオンの「喚き」が成功のキッカケに
そんなとき、世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリが試合前にわめいていたコトバが、耳に入ります。
I’m pretty, I’m so pretty, I’m ready to rumble! Rumble, young man…
(オレはやるぜ!オレは凄いぜ!ぶちかましてやる!ぶちかましてやるぜ…)
ここから「Let’s get ready to rumble」というフレーズを作り、使い始めたものの、最初のころは確信が持てずに、コールの時のテンションは低かったそうです。
ただ、それまでとは何か違うものを感じたマイケル・バッファーは、その後も同じフレーズを使い続け、たくさんの人たちからアドバイスを受けながら、現在のハイテンションなものへと磨き上げていきました。
その間に、このフレーズは観客のみならずボクサーの支持も受けるようになり、ボクシング界の看板リング・アナウンサーとして、収入も増加。
このフレーズを権利化したビジネスでも億単位の収入を得るようになり、スポーツ・エンターテイメント界の成功者として、広く認知されるようになったのです。
(参考記事はこちら(英語))
他の人から拝借したアイディアでも、たった5語でも、磨き上げれば、世界に通用する可能性がある。
もしかすると私たちは、身の回りにあるアイディアの価値と、それを磨き上げることの意義を、過小評価しているかもしれません。
神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。