12月も中旬を迎え、「寒波到来」がトップニュースになることが増えてきました。
なにかと忙しい師走でもあり、体調を崩さないように、
予防接種をしたり、風邪をひかないよう予防に努めたり、
あるいはすでに風邪気味のときはできるだけ無理しないように、心がけている方も多いと思います。
しかし、私たちの多くは、肉体的な不調を生み出すモノゴトにはしっかり対策していても、
心理的な不調を生み出すモノゴトには、肉体的なものほど、対応できていないのが実態ではないでしょうか?
その典型例が、油断しているとついつい陥りがちな「ネガティブ思考」。
言わば、私たちのココロが生来のリズムを崩して、「風邪」をひいてしまうことです。
ココロの風邪の原因は?
肉体的な風邪の原因は、ライノウイルスやインフルエンザウイルスなどの「ウイルス」です。
免疫システムが適切に機能しているうちは、感染力の弱いウイルスの多くは駆逐することができますが、
インフルエンザウイルスのように感染力の強いウイルスは、しっかりと予防をしなければ感染を防ぐことは難しいですし、
疲れていたり睡眠不足で免疫力が落ちているときは、感染力が弱いウイルスにも感染してしまいます。
そして、「ココロの風邪」であるネガティブ思考に感染してしまうことも、「心理的な免疫システム」と「外部からのウイルス」の2つが関係しています。
心理的な免疫システムは、モノゴトを肯定的に(あるいは、少なくとも中立的に)とらえる心構えのことであり、
外部からのウイルスは、他人や社会が生み出している「否定的な考え」のことです。
健全な心構えを持って日々の生活を過ごしているうちは、否定的な考えを目にしたり耳にしたりしても、
その考えの根拠が薄弱であれば(感染力が弱ければ)、それにとらわれることなく排除することができますが、
心構えが十分にできていないときは、たわいもない否定的な考えにとらわれたり、感情を乱されたりします。
また、どれだけ心構えが強くても、「感染力が強い否定的な考え」、
例えば会社の上司や両親、学校の先生など、私たちに対して強い影響力を持っている人たちから放たれる否定的な考えや感情には、
強いマイナスの影響を受けてしまいがちです。
で、その結果、
「自分は、やっぱりダメなんだ・・・」とか、
「どれだけ頑張っても、◯◯さんのようにはなれないだろう・・・」とかいうネガティブ思考にとらわれてしまいます。
「ココロの風邪」は、肉体的な風邪と同じように、放っておいても短期間で治ることもありますが、
適切な処置をしなければ、治るまでに長い期間を要したり、
あるいは、肉体的な風邪が肺炎につながる可能性があるように、
うつ病やパーソナリティ障害などの、さらに深刻な状態を生み出す可能性もあります。
「ココロの風邪」への対策は?
じゃあどうすれば「ココロの風邪」が治せるのか、あるいは予防できるのか、ということですが・・・
しょせん、ウイルスに感染して発症しても、適切に対処していれば生命の危機を招くことはない単なる「風邪」に過ぎないととらえて、
一方で、肉体的な風邪と同じように、治療と予防に最善を尽くすしかありません。
具体的に挙げていくと・・・
1)発症したら、しっかり栄養を摂って、休息を取る
まず最初に、ウイルス=否定的な考えに感染してしまったときは、
何よりも免疫システム=心構えを本来の状態に戻すことに集中しましょう。
「ネガティブな考えにとらわれてしまった自分は、なんてバカなんだ」などと余計なことを考えずに、
前向きな気持ちにさせてくれる本を読んだり、
ポジティブな波動がビシバシ伝わってくる映画や動画を観て、ココロに滋養を与えてください。
もちろん、肉体的な風邪と同じように、寝て(眠って)しまっても構いませんが、
寝る前に、ポジティブなモノゴトでココロを満たしておくことをお忘れなく。
さらに、完全に治るまでは、ココロがネガティブなモノゴトに触れないように、心がけてください。
肉体的な風邪をひいたときに、身体を冷やしたり、激しい運動をしたりせずに、安静にしていることが大切なように、
風邪をひいたココロにも、然るべき保護と手当てが欠かせないからです。
2)「予防接種」で免疫システムを強くする
次に、予防について。
肉体的な風邪を引き起こすウイルスと同様に、「ココロの風邪」を引き起こす「否定的な考え」は、ありとあらゆるところにあります。
避けようとしても、完全に避けることはできません。
でも、それらの否定的な考えを「わざと」取り入れて、その考えが引き起こす不快な気持ちを感じきって、その上で、
「よし、これからこのような考えに接したときは、自分はこうやって前向きにとらえよう!」とシミュレーションすることで、
ココロの中に、特定の「否定的な考え」に対する「抗体」を作ることができます。
多くの「否定的な考え」でシミュレーションすればするほど、多くの「抗体」を作ることができますが・・・
その前に、現在の「ココロの免疫システム」が、問題なく機能していることだけは、しっかりと確認しておきましょう。
すでに発熱しているときに、インフルエンザウイルスの予防接種を受けることができないように、
ココロの予防接種も、ココロが健康な状態のときだけ受けるようにしなければ、危険です。
あと、あまり強すぎるウイルス=否定的な考えを、一度にまとめて取り入れないように気をつけましょう。
予防接種のつもりが、がっつりと感染してしまう恐れがあります。
3)栄養と休息をしっかり取って、免疫システムを健全に保ち続ける
最後に、もう一つ「ココロの風邪」の予防として必要なのが、
毎日、ココロに十分な「栄養」と「休息」を与えることです。
炭水化物、糖質、タンパク質、ビタミン、ミネラルのバランスが取れた食事をすることが、肉体的な風邪の予防に効果的なように、
ココロにも、毎日バランスよく「前向きな考え」を取り入れ続けることが、ココロの免疫システムの維持に役立ちます。
自己啓発とかスピリチュアルといった特定の「栄養素」だけに偏るのではなく、
大きな困難を克服して成功を収めた歴史上の偉人の伝記とか、
身体的なハンディキャップを克服して偉大なことを成し遂げた人たちのストーリーなど、
前向きな心構えを与えてくれるものを、「食わず嫌い」をすることなく、摂り入れていきましょう。
テレビのワイドショー、ゴシップや偏見に溢れた週刊誌、あるいはネットニュースや匿名掲示板のような、
ボリュームはあっても、ココロへの栄養素が少ない「ジャンクフード」には、なるべく手を出さないようにすることも大切です。
そして、もっとも大事なのが、「なにか調子が悪いな、いつもと違うな・・・」というときには
それ以上無理をせずに、「はい、ここでいったんストップ!少し休もう!」と、休息を取ることです。
5分でも10分でも、何も考えずに外を散歩するとか、静かに瞑想するとか、優しい気持ちになれる詩を読むとか・・・
あなたのココロを休めてくれるものなら、なんでも構いません。
無理を重ねると、あなたのココロの免疫システムは、ますますおかしくなっていきます。
わずかな時間でもいったんリセットして、休息を与えてあげることが、本来の働きを取り戻すキッカケになります。
= = =
ついつい陥りがちなネガティブ思考も、
「あぁ、またココロが風邪をひいてるなぁ」と違う視点でとらえれば、取り組みやすくなります。
心身ともに忙しくなる時期は、「ココロの風邪」が流行る時期でもあります。
ココロを暖かくして、ココロの栄養をしっかり取って、休めるときはしっかりとココロを休めて、
どうかお大事に。
神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。