マーケティングの罠・・・ありきたりな釣り言葉に騙されないために

マーケティング

 

こんにちは、廣世です。

今回はまず、あるデータからご覧ください。

 

「一流」は1,631件。

「頭のいい人」は1,532件。

「年収」は1,333件。

 

これらは、本日時点で、それぞれのキーワードでアマゾンの「本」カテゴリを検索したときに該当する件数です。

キーワードを少し変えてみると、また違う切り口が得られます。

例えば、「頭のいい」で検索すると、3,295件がヒット。「頭のいい子」というフレーズを含んだ教育関係の書籍や、「頭のいい●●」のようなノウハウ系の書籍が含まれてくるからです。

一方で、「ファーストクラス」では105件、「年収1億」では100件がヒット。「一流」→「ファーストクラス」のように類義語を使ったり、「1億」のような具体的な数字を使ったりしても、それでもまだ100冊前後の類似タイトルが存在していることが分かります。

 

書籍のタイトル付けにおいて、似たようなキーワードが使い回されているという事実に、疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?

なぜなら、ビジネスでのマーケティング活動においては、他との「違い」を打ち出すことが求められるからです。

例えば、「●●で日本を元気に!」とか「●●で人々を幸せに!」など多くの会社で使い回されているありきたりなフレーズを、あえて経営理念や事業ミッションに使おうとする企業は、いまや少数派でしょう。(もし使おうとしているなら、センスや思考が旧態依然としている証拠です)

 

「一流・頭のいい・年収」といった月並みな言葉がいまだに使い回されているのは、私たちの日々の仕事や生活において、これらの言葉に反応してしまう価値観をアタマにすり込まれているからです。

テレビや雑誌などのマスメディアは、そういう価値観をすり込むための「洗脳」を行う媒体として、日々メッセージを発し続けています。

ありきたりでも思わず反応してしまう言葉をタイトルに含めて、見栄えのいい装丁にして、感情を動かして衝動買いを促すのが、これらのキーワードをタイトルに含む書籍の販売戦略なんですね。

 

しかし、本当の「一流」や「頭のいい人」、あるいは「年収1億」を稼ぐ人たちを冷静に観察してみれば、それとは逆の事実が見えてきます。

こういう人たちは、「一流・頭のいい・年収」などのキーワードがタイトルに使われている書籍を読むことはない、という事実が。

そして、誰もが手軽に読めるようなありきたりな本を読むのではなく、普通の人が敬遠する難解で複雑なモノゴトに取り組んできたからこそ、それらの人たちが一流で頭のいい、高い年収を稼ぐ人たちになったという事実が。

 

例えば、僕のメンターの一人で、個人で年商数億円レベルをずっと続けている人に「これからの起業家にオススメの本はありますか?」と訊いたとき、彼の答えは『旧約聖書』と、定価が1万円を超える『自我の源泉 -近代的アイデンティティの形成-』というぶ厚い書籍でした。

そのメンター曰く、「この2冊を何度もじっくりと読み込めば、人間が理解できる。人間のことをしっかりと理解して、誰よりも実践を積み重ねれば、ビジネスが失敗するはずがない」とも。

同じような理由で、古事記や日本書紀などの「古神道」を挙げているメンターもいました。

難解なものに真正面から取り組むことではじめて、複雑きわまりない「人間」という存在を理解する糸口が得られるのですね。

 

ビジネスを成功させるにはまず、大衆の反応を誘うように作られたタイトル・装丁の本をつい反射的に買ってしまうという、「パブロフの犬」状態から脱することが第一歩なのかもしれません。

 

それでは、また!

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。