飲食店の「ランチ営業」は「割り切り」がカギ

マーケティング

 

久しぶりに自宅近くで、平日のランチに行きました。

普段は外出先か、仕事場のある六本木・青山付近でランチに行っているので、ちょっと非日常な感覚です。

行ったお店は、よく晩ご飯を食べにお邪魔させていただいている、無国籍料理『AJISAI』さん。

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ボリュームのある日替わりランチ。これで800円。夕方からの営業でも美味しい料理とお酒が揃っているお店ですが、ランチも大満足。お客さんが次々と入ってくるのも当然のクオリティです。

いつもいつもありがとうございます(^-^)

 

食事の後、お店の近所をぐるりと歩きまわって、ランチ営業している飲食店を調べてみました。大体の感覚ですが、6~7割くらいのお店が、夕方~夜の営業に加えて、ランチ営業を行っています。

駅に近く、アメックス日本支社などの事業所が集まっているエリアで、ランチの需要はそれなりにあるはずですが、コンビニや外食チェーンの出店が多く、競争は厳しいようです。お昼の12時台なのに、『AJISAI』さんの盛況ぶりとは正反対に、席が半分も埋まっていないお店がいくつもありました。これらのお店では、おそらく、ランチ営業で利益が出てないでしょう。

 

よっぽどの人口集積エリアでもない限り、個人経営の飲食店がランチ営業で利益を出しにくいのは事実です。

コンビニや牛丼チェーンのお店などに行けば、安くてボリュームのあるランチが食べられます。値段だけでランチを決めている人たちが、わざわざ価格が高めの飲食店を選ぶことはありません。さらに、個人経営のお店には、価格競争で大手チェーンに勝てる財務的な体力もありません。

 

なので、利益を圧迫するくらいならランチ営業を一切しない、というのも経営判断になり得ます。

でも、お客さんからのリクエストがあったり、少しでも売上を上げるために、やむなくランチ営業を行わなければならないこともあるでしょう。

飲食店にとって、一番利益を生み出してくれるのは「アルコール飲料」です。

ランチ営業をしなければならないのなら、お客さんが基本的にアルコールを飲まない平日のランチ営業を、アルコール飲料の注文が多い夕方~夜の営業時間への導線と「割りきって」、再来店率を高める工夫を凝らすのも一つのやり方です。

 

このあたりの工夫は、個人経営ならではのフットワークの軽さで、いろいろな施策が試せます。

  • ランチを原価ギリギリの価格設定にして「お得感」のある内容にする。
  • 店内に、夕方~夜の看板メニューのPOPなどを掲示しておいて、注意を引く。
  • SNSのアカウントで「この投稿を見た方はデザート無料」などのお得情報を流し、来店を促す。
  • ランチタイムに来店してくれたお客さんに、夕方~夜の営業時間帯に使えるクーポンを渡す。
  • などなど・・・

近くにある大手チェーン店のキャンペーンなどを調べたうえで、ほかとの「違い」を強調するオファーを出すと効果的ですね。

 

「ランチ営業」は集客の第一段階と捉えて、そこで夕方~夜の来店率を高めるアプローチを行う。さらに、夕方~夜の営業時間帯では、さらにリピート率を高めるためのアプローチを行う。

段階を踏んで、お店の「熱狂的なファン」になってもらうための仕組みを作れば、価格競争から抜け出せます。

ただ、ここまでの話はもちろん、美味しい料理を出していることが前提ですが・・・

美味しい料理と、熱狂的なファンをつくる仕組みの2つが揃えば、個人営業の飲食店でも、大手と十分に戦えます。

 

ここ最近は、どの街に行っても、大手チェーン店の看板がずらりと並ぶ状態が生まれつつあります。

想像力に溢れた個性豊かなメニューを出してくれる個人経営の飲食店が活気を失ってしまうと、日本の食文化が貧しくなってしまうことにもつながります。

そんな退屈な未来は、避けたいですよね・・・

弊社でも、何らかのカタチで「街の飲食店」を支援する活動を展開していきます。

まずは、僕自身の食生活を豊かにするためにも、自宅周辺から始めていこうかと企んでいます(^-^)

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。