「キャッチー」という「平凡さ」

マーケティング

 

今日から新年度ですね。

4月1日はエイプリル・フールでもありますが、このブログに関してはウソは一切無しで、いつもの通り淡々とお送りします。

 

「キャッチー」の意味って?

「キャッチー(catchy)」というカタカナ英語は、いまや国語辞典の『大辞泉』にも乗っていて、一応は市民権を得たと言ってよいでしょう。

「興味・注意を引きやすい、人々に受けそうな」という意味で、ブレストや企画会議なんかで「そのコンセプト、キャッチーだよね~」と(少し軽薄な感じで)言うのが、典型的な用法の一つです。

 

「キャッチー」は簡単?

新規事業の立ち上げにおいては、キャッチーなビジョンやコンセプトを提示することが極めて重要です。

でも、残念ながら、いきなりキャッチーなコンセプトやフレーズが、アタマから出てくることはありません。

優れたコピーライターやウェブライターでさえも、何百、何千とアイディアを出した中から選んでいます。時には、何百、何千というアイディアが出ても、何一つ選ばずにすべて捨てられることさえあります。

 

プロフェッショナルでなければ、「キャッチー」はつくれない?

そんなことはありません。キャッチーなものは、必ずしも「優れているもの」や「洗練されたもの」ではないからです。

平凡なものでも、キャッチーなものになり得ます。むしろ、平凡なものほど、キャッチーなものに化ける要素をより多く持っています。より多くの人々の人々にとって理解しやすいという性質が、キャッチーなものには必要不可欠だからです。

 

日常に隠れる「キャッチー」のタネ

興味を引き出す言葉や文章、あるいはコンセプトのヒントは、日常生活の中に溢れています。

平易な、でも誰も使ったことのない表現で、人々の興味を引き出しているものが、身の回りにたくさんあるはずです。そういう良い例を観察して、人々の反応を引き起こしそうなキーワードや言い回し、表現を、普段からサンプリングしておいて、それらの言葉や表現の使い方を、毎日「小さく」試してみましょう。

例えば、フェイスブックを使って、対象とする友達やグループを想定し、その人たちから「いいね!」を引き出せそうな言葉や表現を使った投稿をしてみる。また逆の視点から、「いいね!」を押してもらえなさそうな言葉や表現を使った投稿をしてみるのも、一つの練習です(あまりやり過ぎると友達が減るかもしれないので、ほどほどに)。

そして、自分の想定と、実際の反応度合いの間に、どれくらいのギャップがあったか、なぜギャップが生まれたのか、分析・検証してみましょう。これを繰り返していくと、想定ターゲットに合わせて使う言葉と表現を変えられるようになり、ターゲットに対してキャッチーなものが提示できる可能性が高まっていきます。「響かない言葉・表現」もしっかりと押さえておけば、大失敗するリスクを下げることもできます。

 

「キャッチー」はシンプル

キャッチーなものを作ろうと意気込むあまりに、大量の情報を入れすぎて、ターゲットを混乱させないようにしましょう。ヒトは、大量の情報を同時に処理することはできません。アタマを混乱させるものに接すると、ヒトは本能的にそれを避けてしまうので、何の反応も得られなくなります。

メッセージの「全て」が心に刺さる必要はありません。何かひとつ心に引っかかれば、それだけで十分です。心に引っ掛けるためのフック(仕掛け)はいくつも仕込んでおく必要がありますが、あくまでもさり気なく散りばめておきましょう。

 

「キャッチー」はキッカケ作り

相手の興味を引くことは、最初のトリガーに過ぎません。そこからさらに、相手に行動を起こさせるまで情報を与え続け、共感を引き出し、相手に行動を起こしてもらうことがゴールです。

途中で興味を失わせてしまったら、そこで終わりです。私たちの身近にある物事から、人々が惹きつけられて離れられなくなるエッセンスを引き出して、キャッチーなビジョンとコンセプトを人々に示し、新しい事業やサービスのロケットスタートを目指しましょう。

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。