アメリカの起業家・作家の James Altucher が勧めている「毎日アイデアを10個出す」という日課を去年から続けています。
アイデアを出す対象は、何でも構いません。
新しいビジネスや企画に限らず、次の休日にやりたいこと、家族にプレゼントしたいもの、印象に残っている映画・本の内容・・・などなど、アタマをしっかりと使うものであれば、どんなテーマでもOKです。
簡単そうに思えますか?
実際に、下の例題で試してみてください。
- 今日1日の仕事をより生産的に、効率的に行うためのアイデア10個
- 日本の後期高齢者を助けるビジネスのアイデア10個
- 後悔している過去の出来事10個
5〜6個まではなんとか出せても、残り2〜3個がなかなか出てこないのではないでしょうか。
テーマによっては、最初の2〜3個すら、すんなりと出てこないこともあり得ます。
「良いアイデアを出す方法は、自分を追い込むこと」という James のやり方を半年ほど試してみて、私自身が得られたことを挙げてみます。
1.「アイデア筋肉」が鍛えられる
たくさんのアイデア(そしてより良いアイデア)を出すスキルは、ウェイトトレーニングと同じで、鍛えれば鍛えるほど上達していきます。
アイデアを出すスピードや、インパクトの強いアイデアを出すパワーも、毎日のトレーニングを積み重ねることで上がっていきます。
逆に言うと、毎日アイデアを出し続けなければ、身体の筋肉と同じように、「アイデア筋肉」はだんだん衰えていき、使いものにならなくなるのです。
2.普段とは違う視点からモノゴトを考えられるようになる
テーマによっては、わずか10個のアイデアさえ出てこないこともあります。
アイデアが出てこない理由の一つは、思考がワンパターンに陥っていたり、固定観念に囚われていることです。
前提条件を疑ったり、第三者の視点・立場から問題を考えることで、新しいアイデアを生み出すことができます。
3.アイデアが指数的に増えていく
アイデアがいくつか出てきたら、それらを掛け合わせてみましょう。
James Altucher は、このアイデア同士を交わらせる行為を「アイデア・セックス」と呼んでいます。
10個のアイデアを、別の10個のアイデアとそれぞれ掛け合わせれば、100個のアイデアが生まれます。
もちろん、その中には一見してくだらないアイデアや、非現実的なアイデアも出てきます。しかし、それらは日常の思考ではまず生まれることがなかったアイデアでもあります。
滑稽なアイデアから得られるインスピレーションを楽しみましょう。
4.膨大なアイデアの在庫ができる
1日10個のアイデアを出し続けると、1ヶ月間で300個以上、1年間で3650個のアイデアが貯まります。
それだけのアイデアを出したということ自体、大きな成果です。
そして、たとえ1つ1つはつまらないアイデアだったとしても、それらを「アイデア・セックス」を通じて素晴らしいアイデアに生まれ変わらせるチャンスが常にあります。
5.無意識レベルの知恵が引き出せる
毎日のアイデア出しに、時間の制限を設けることで、さらに面白いアイデアを出すことができます。
時間に制約を設け、アタマにふっと浮かんだアイデアの良し悪しの判断ができないようにして、思いついたことをすべて書き出していきます。時間を短めに設定することと、手を止めないことがポイントです。
そうやって得られたアイデアは、荒削りであっても、あなたの中に蓄積されてきた知識・経験から生まれてきた、ダイヤの原石なのです。
6.臆病さを手放せる
学校の勉強やテストとは違い、実際の社会は正解のない問題、あるいは逆に、正解がいくつもある問題に溢れています。
アイデアそのものには、正解も不正解もありません。アイデアの「本当の」良し悪しは、それを実行してみなければ誰にも分からないからです。
「正しさ」を求める臆病さを捨てて、鍛えた「アイデア筋肉」で大胆にユニークなアイデアを出し続ける人だけが、ビック・アイデアを生み出せるのです。
7.「アイデアを否定する人」の価値が分かる
毎日アイデアを出す練習を続けていると、アイデアを否定する人が、とてもありがたく思えるようになります。
否定されれば気分が悪いはずなのに、なぜでしょう?
アイデアを否定する「理由」は、見方を変えると、新しいアイデアの切り口にほかならないからです。
ダメ出しをされればされるほど、考えるヒントが増えてワクワクしてしまうのが、鍛えた「アイデア筋肉」の持ち主なのです。
そしてもちろん、確たる理由もなしに、ただアイデアを否定する人には、耳を傾ける必要はありません。そんな人を無視できる強さも、鍛えた「アイデア筋肉」から得られます。
8.他人のアイデアに敏感になる
毎日アイデアを出す練習をしていると、他の人が出したアイデアにも意識が向くようになります。
いままでは何気なく観ていたテレビ番組やコマーシャル、新聞広告に込められた(あるいは隠された)、制作者のアイデアにふと気付くのです。
そんなアイデアの優れたところ、ユニークなところを拝借して、自分のアイデアに応用することで、さらに発想のスケールが広がります。
9.競争で有利になる
毎日アイデアを出す練習を続けることは、アイデアをたくさん考える習慣のないライバルたちに勝てるチャンスを増やすことでもあります。
もちろん、たまたま浮かんだ少数のアイデアで、一時的にライバルが先んじることはあるかもしれません。
しかし長い目で見ると、「アイデア筋肉」を鍛え続け、持っているアイデアが多ければ多いほど、そしてそれらがユニークで質の高いものであればあるほど、競争に勝てる可能性が高まります。
10.人生がより面白くなる
いつもアイデアを考えている人は、退屈することがありません。
日々の仕事や生活で試してみたいアイデアが次々と湧きだしてくるので、退屈するヒマがないのです。
毎日アイデアを出すトレーニングを習慣にして、それらのアイデアを実行し続けることで、それまでとは違う人生が開けてきます。
* * *
「毎日アイデアを10個出す」という日課を始めるのに、特別な準備をする必要はありません。
メモ用紙と鉛筆・ペンがあれば十分です。
スマートフォン、あるいは携帯電話のメモ機能を使えば、通勤時間や移動中でもカンタンに取り組めます。
さらに、この日課には、長い時間をかける必要もありません。
10個のアイデアなら、5〜10分もあれば十分に出せるはずです。
もし、長い時間をかけなければアイデアが出てこないなら、それはあなたの「アイデア筋肉」が衰えている証拠です!
さっそく「毎日アイデアを10個出す」ことで、「アイデア筋肉」を鍛え直してはいかがでしょうか。
神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。