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ホメると能力が落ちる?!「褒め言葉」が生みだす弊害とは?

 

効果的な「褒め殺し」をしたければ、相手の「能力」を褒めればいい。

それを明らかにした研究があります。

 

著名TEDスピーカーが語る「人生とは?」

TED講演「社会運動はどうやって起こすか」で有名な起業家Derek Siversが、新しい講演の動画を公開しています。

Derek Sivers本人による全文の書き起こし(英語)もこのサイトで公開されています。

 

この動画の後半に、固定思考(Fixed mindset)と成長思考(Growth mindset)の話が出てきます。

固定思考は、人間の能力はあらかじめ決められているとする考え方。「私は/あなたは/あの人は◯◯が得意/苦手」という評価が、その典型的なものです。

一方で成長思考は、たゆまぬ練習・鍛錬によって、人間はどんな能力でも身につけられるとする考え方です。

 

思考の「クセ」を形作るのは…

ある人が固定思考を持つのか、あるいは成長思考を持つのかは、その人が過ごしてきた環境、つまり幼少期に両親・学校の先生から言われてきたこと、そして友人・上司など、現在周りにいる人たちの思考のクセに影響を受けます。

能力に関する評価、例えば「あなたには無理よ」とか「なんで△△ができないの?」を受け続けて育った人は固定思考を持つ傾向があります。

一方で、「やればできるんだよ!」とか「よく頑張ったね!」など、努力や練習量に対する評価を受けてきた人は、成長思考が伸びやすいのです。

そして、興味深いというか、むしろ怖いのが、一見して成長思考を伸ばすであろう「褒め言葉」や「肯定的な言葉」を投げかけても、逆に固定思考を植え付けてしまう可能性があるということです。

 

ホメたのに成績が悪化

子供を2つのグループに分けてテストを受けさせ、テストの後で全員を褒めて、2回目のテストへの影響を測るという実験が行われました。

唯一の違いは、それぞれのグループの子供たちを褒める「言葉」だけ。

片方のグループには「得意なんだね(You must be good at this)!」、もう一方のグループには「すごく頑張ったんだね(You must have worked really hard)!」という褒め言葉が使われました。

そして、2回目のテストの結果は・・・

「得意なんだね」と言われたグループは、成績が20%「悪く」なり、一方で「すごく頑張ったんだね」と言われたグループは、逆に成績が30%「良く」なったのです。

「得意なんだね」というメッセージが、自分はもう得意なんだから現状維持でいいやという固定思考を植えつけたのに対して、「すごく頑張ったんだね」というメッセージは、努力して成長すること、練習を重ねて上達することが評価されるんだという成長思考を与えたのです。

つまり、現時点での「状態」をホメるのではなく、現在進行形の「プロセス」をホメることで、より能力を引き出し、より成長を促すことができるのです。

 

ホメる対象がカギになる

この実験結果は、固定思考を生み出す褒め言葉が、「褒め殺し」において有効であることを示しています。

「すごく優秀ですね」、「すごく上手ですね」といった能力についての褒め言葉を浴びせ続けることで、当の本人には「そんなに優秀なんだったら、もう努力しなくてもいいか・・・」という慢心と油断が生まれるからです。

一方で、人を育てることに責任を持つ立場であれば、その逆に、成長思考を伸ばすアプローチを取らなければなりません

現時点で能力があるかないかという「静的」な面を評価するのか、あるいは継続的な努力や頑張りといった「動的」な面を評価するのかで、相手の未来が大きく変わってしまうのです。

 

子供の教育に限らず、会社スタッフの育成でも、強く意識しておきたいところですね。

 

 

photo by: wackybadger

Published in 発想