『アメトーーク!』でプレゼンテーションを学ぶ

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私はほとんどテレビを観ないのですが、木曜日深夜のテレビ朝日系『アメトーーク!』は数少ない例外の一つで、特番も含めて欠かさず観ています。

皆様にもお馴染みの番組だと思いますが、毎回ある共通点に基づいたゲスト(基本的に、お笑い芸人)が集団で出演して、そのテーマを面白おかしく語るというトーク番組です。これを、ただのバラエティ番組として捉えてしまうと、非常にもったいない。出演ゲストが自分自身をプレゼンテーションしている場であると捉えると、起業家にとってアイディアの宝庫なのです。

(以下、芸人の方々は敬称略とさせていただきます)

 

【集中力と瞬発力から学ぶ。】

『アメトーーク!』のゲストは、最初の登場シーンから、もの凄い集中力をみなぎらせています。笑顔の合間から、絶対に笑いを取ってやろう、最初のチャンスにすかさず食いついてやろうという鬼気迫るオーラが出ています。常連ゲストも、初登場ゲストも、印象が薄ければ呼んでもらえなくなる世界です。番組最初のゲスト紹介の時点で、MCのトークに対し、かぶせ気味に自分をアピールしています。

彼らの持つ必死さと炎のようなエネルギーは、起業家にとっても絶対に必要です。自分を売り込むタイミングは、クライアントを訪問しているときだけとは限りません。街を歩いていたり、電車に乗っているときにビジネスのチャンスが生まれるかもしれない。レストランや居酒屋で隣に座った人がビジネス・パートナーになるかもしれない。自分の周りに常に気を配って、巡ってきたチャンスは瞬時につかんでやるという気概の大切さを、ゲストの引き締まった表情から学ぶことができます。

 

【スベり続ける芸人から学ぶ。】

出川哲朗や狩野英孝に代表される「スベり要員」的な芸人が登場している回も、「つかみ」と「落としかた」のエッセンスが学べます。この種の芸人は、スベることをきっかけにして周りの芸人からツッコミを引き出し、最終的には何らかの形で笑いを取っています。

彼らの「スベり芸」と周囲の芸人のやりとりからは、インパクトに欠けているプレゼンをブラッシュアップさせる発想の転換や、あるいは意図的に話題のポイントをずらして聴衆に緊張を与えた後に、聴衆が想像していない切り口で本題に戻してプレゼンを盛り上げるテクニックが学べます。

 

【組み合わせの妙から学ぶ。】

番組に呼ばれるゲストは、特定の共通点を持っていること以外は、個性がバラバラです。普段は一緒に遊んだりしなさそうな出演者同士で話が盛り上がったり、出演者同士のやりとりを通じて、普段の仕事では知られていなかった一面が明らかになったりなど、出演者のトークが様々な相乗効果を生み出しています。

『アメトーーク!』出演者の多くは、他の出演者が喋っている間も、自分をアピールするタイミングをずっと探り続けています。話し手を活かしながら自分のことを効果的にアピールするには、他のゲストの個性や話す「間」を読み取り、自分が活きる一瞬のタイミングでツッコミやトークを入れなければなりません。このテクニックを学ぶことで、集団の中で自分の存在を巧みに際立たせる「作法」を磨くことができます。

 

【芸人持ち込み企画のプレゼン大会から学ぶ。】

約半年に1回開催されている、芸人による番組企画のプレゼン大会は必見です。いずれのプレゼンも企画者の個性が出ていて面白いのですが、その中でもサバンナ高橋など、過去に何度も持ち込み企画が採用されている芸人は、着眼点のユニークさやコンテンツ構成の巧さが際立っています。

各プレゼンターが手書きで作ったフリップを使ったプレゼンから、企画にかけるプレゼンターの意気込みが伝わってきます。パワーポイントやキーノートで作った、見た目がキレイなスライドは、企画やプレゼンの本質的な要素ではないことが分かります。

 

【MCの雨上がり決死隊から学ぶ。】

宮迫博之と蛍原徹の2人のMCが生むリズム感も注目すべきポイントです。ゲストに対して、それぞれのスタイルで繰り出される鋭いツッコミ(宮迫は本来、ボケですが…)が、ゲストの個性を際立たせ、ゲストが語るエピソードに変化とアクセントを付けています。

彼らのテクニックは、パネル・ディスカッションでの議論を盛り上げたり、チームでの企画会議でアイディアをブラッシュアップさせるための話術に応用できます。

 

話術とプレゼンスキルを磨くことで、日々の仕事や生活において、自分がイニシアティブ(主導権)を取ることにつながり、より主体的・能動的に生きていくことができます。芸人が個性を爆発させるトーク番組は、話術とプレゼンスキルを学ぶ素材に事欠きません。

『アメトーーク!』で大笑いして日頃のハードワークの疲れを癒し、そのついでに、人生でイニシアティブを取るテクニックを盗みましょう!

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。