選ばれるビジネスを生むアイディアのつくり方 – (6)利益モデルとの結合

発想

 

こんにちは、廣世悟です。

 

これまで5回に分けて、お客様に選んでもらえるビジネスを創り出すアイディア発想法を取り上げてきましたが、そもそも、どんなに面白いアイディアでも、ビジネスでは利益を生まないと何の意味もありません。

 

起業家の中には、「いやぁ~、数字は苦手で・・・」と言う方もおられますが、それは思い込みに過ぎません。(本当に苦手なら、申し訳ありませんが、企業経営には向いていません・・・)

自分の財布の中身を把握していて、月々の家計収支をマイナスにしない程度の数字感覚があれば、利益を生み出すアイディアを創り出すには充分です。

なぜなら、利益モデルの本質は、非常にシンプルだからです。皆さんご存知の「収入―コスト=利益」も利益モデルですし、コストの一部を構成する人件費も「時間×時間単価=人件費」のような単純なモデルに分解できます。

そして、ビジネス上のあらゆる行動は、何らかのモデルに置き換えることができるのです。(そう、仕事をサボることの経済効果もモデル化できます!)

 

生み出したアイディアと利益モデルを結びつけるには、まず、アイディアが実現したときのヒト・モノ・情報・流通がどのようになるのか、具体的にイメージすることから始めます。

従業員やアルバイトを雇うのか、売りモノはどこから仕入れるのか、見込み顧客の情報はどうやって入手するのか、売れたモノをどうやってお客さんへと届けるのか、等々・・・具体的な活動がイメージできれば、どういう仕組みで、どれだけのお金が動くのかが、見えてきます。

もし、このあたりのイメージが具体的に湧いてこないならば、ビジネスを立ち上げた経験が豊富な人にアドバイスを求めるべきです。

以前に、起業実績があるとか、会社の経営に参画していたとか、新規事業の立ち上げを主導したというような「修羅場」経験を豊富に持つ人からアドバイスをもらえるならば、理想的ですね。「成果を出さなければ破産またはクビ」という崖っぷちで生き残ってきた人が好ましいです。なお、会計士や税理士などの「数字」の専門家は、必ずしもこの種の「修羅場」経験が豊富とは限らないので、注意が必要です。

 

こう言うと、「いやいや、そんな細かいことまで調べたり検討したり、人に相談している余裕は無いし!私はとにかく、思いついたアイディアを、実行していきますよ!」と、戦略的なアプローチを拒絶する起業家の方もいらっしゃいます。

これはこれで一理ありますが、短期的な視点にだけ囚われているからこそ、余裕が無くなっているという一面もあります。

思いついたアイディアをしっかりと裏付ける利益モデルを考えて、先々の展開を(ざっくりとでも)シミュレートした上で行動計画を立て、粛々と実行していけば、いつもバタバタしなくて済みます。

 

そもそも、アイディアと利益モデルのどちらを優先させるべきなのか?

面白いアイディアなんだけど、どうにも儲かりそうにないから、儲かりそうな内容にアイディアを手直ししてみた。でもやっぱり儲からなかった・・・。

いずれも、よく耳にすることです。

 

優先すべきは、あくまでも、ユニークで尖ったアイディアです。

利益モデルが思いつかないからと言って、元々のアイディアを、特徴に欠ける、つまらないアイディアに手直ししていては、本末転倒です。

目的はあくまでも、みんながワクワクする、ユニークで尖ったアイディアに、巧みに創り込んだ利益モデルを組み込んでいくことです。

このプロセスで求められる、諦めない気持ちの強さというか、このユニークなアイディアで必ず儲かるようにしてみせるという気迫こそ、「修羅場」経験が豊富な人が持っている特性でもあります。

 

繰り返しになりますが、アイディアと利益モデルの結合にあたっては、積極的に他人(プロフェッショナルであればあるほど良い)からのアドバイスを求めていくべきです。

複数の視点から検討・検証することで、利益モデルにリアリティが生まれ、アイディアを実現するプロセスを、よりコントロールしやすくなるからです。

 

脳力を振りしぼって生み出した最高のアイディアには、それに相応しい利益モデルを用意してあげましょう!

 

p.s.

もう少し複雑な利益モデルに興味をお持ちの方には、エイドリアン・J・スライウォツキー著『ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか』をオススメします。

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。