モノづくりが強い日本こそ、体験価値をセールスポイントにする

ビジネスモデル

 

先日、ある小売店のオーナーから「外国人のお客さんにうまく対応するには、どうすればいい?」という質問を受けました。

 

「「外国人のお客さん」は、主に、外国からの旅行客という理解でいいですか?」

「うん、そう。いまでもときどき来てもらってるけど、東京オリンピックもあるし、これからもっと増えると思うから。」

「「うまく対応」というのは、たとえばどんな状況をイメージしてますか?」

「うーん、とりあえずは、もっとお店に来てもらって、うちの商品を買ってもらえればいいかな。」

 

あなたなら、どうアドバイスしますか?

 

一つ確実に言えるのは、テクニックだけでは不十分な時代になっているということです。

最初の質問の例でいうと、そのお店が店頭ディスプレイや商品紹介の文章を多言語対応したり、英語や中国語を話せるスタッフを雇ったりするのが「テクニック」です。

それらを活用するのはもはや当然で、それだけで外国人のお客さんがたくさん来てくれることはありませんし、商品も売れないのです。

 

自分自身が海外旅行に行ったとき、どんなお店を気に入るか、どんなお店だったら商品を買いたくなるかという視点から考えると分かりやすいかもしれませんね。

あらかじめ買うお店と商品そのものが決まっているときもあるでしょうが、そもそもなぜ、そのお店で、その商品を買いたいと思ったのでしょうか?

 

もう分かりましたね?

 

そうです。

私たちは、商品だけを見て買っているのではなくて、その商品を使ったりお店を訪れることで得られる、ポジティブな「体験」や「感動」があるから買いたくなるのです。

そして、そういったプラスの体験や感動が得られるという「評判」を聞くだけでも、お店に行きたくなったり、買いたくなります。

 

そのお店の理念や歴史を詳しく説明してくれたり、

商品が創られる工程を見せてくれたり、

お店の内装や商品の陳列、パッケージがユニークだったり、

わざわざ店長が出てきてくれて記念写真を撮ってくれたり・・・

 

来店してくれたお客さんに、面白い体験や感動を与え、それを他の人とシェア(共有)してもらう工夫をする。

ひとつひとつは些細な行動かもしれませんが、そういう些細なところにこそ、日本人ならではの気配りや優しさが表れます。

そして、わざわざ日本を訪れてくれている外国人の旅行客が潜在的に求めているのは、モノやサービスといった「ハード」以上に、そんな日本特有のソフト面なのです。

 

最初の質問に戻ると・・・

そのオーナーには、まず口コミを広げるために「お店の看板の前で撮った写真をSNSに上げてくれた外国人のお客さん、そして他の人がSNSに上げた写真を見せてくれたお客さんには、プレゼントをあげる」という施策と、そのお店の商品特徴を活かしてお客さんの「体験価値」を上げるための施策をいくつか提案しました。

これから外国人のお客さんがどれだけ増えるのか、楽しみです(^-^)

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。