こんにちは、廣世です。
『墓場に持って行きたい本 100選』、通称『墓100』、3冊目です。
『アート・スピリット』ロバート・ヘンライ著
いままでになかった新しい事業を創造する試みは、芸術活動と通じるものがあります。
誰も思いつかなかった事業のコンセプトは、人間の想像力から生み出された芸術(アート)であり、それを生み出した起業家・企業家は、まさにアーティスト。
『アート・スピリット』は、1923年に、アメリカの画家ロバート・ヘンライが、美術を学ぶ学生たちに向けて書いたアドバイス集です。
本書は、もともと画家を志す学生向けに書かれた本でもあり、描画テクニックの記述が豊富ですが、それ以上に芸術家としての「心構え」と「在り方」の記述の峻烈さが際立っています。
その記述は、本文中の「芸術(作品)」という言葉を、「事業」や「アイディア」と読み替えれば、現代の起業家向けのアドバイス集に変わるほどに、普遍性があり、時代を越えるものです。
著者は、冒頭のはしがきからいきなり「ここにあげた意見に読者のすべてが賛同するとは思わないし、助言にしたがう必要もない。ここに書かれたことに腹が立って、まったく反対の行動をとりたくなっても、それはそれでかまわない」と断言。
「美や幸福にいたる道筋は一つではない」から、と。
芸術家に向けた発言でありながら、現代の起業家にも通じる精神が、ここからも感じられます。
この本のベースには、著者ロバート・ヘンライの、読者に対する無条件の愛情と信頼があります。
彼は、読者に向けて、こう言います。
「傑作を生みだせ―きみ自身と同じくらいの傑作だ」
「何かをとことんまで突き詰めるのは楽しい。人生とは自分を見出すことだ。それは魂の成長である。」
自分の生命と想像力を注ぎ込んで、この世に無かったものを創りだす。
命が尽きる、その瞬間まで。
アイディアを生み出すこと、そしてアイディアをカタチにすることがライフワークと思い定めている自分にとっては、当然『墓100』に入れるべき一冊です。
神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。