「行き詰まり」をさらに悪くする10の方法

アイデア

前回の「行き詰まり」から抜け出す10の方法で、

良い気分転換とは、現実逃避ではなく、次の行動へのモメンタム(momentum、勢い)を与えてくれるものです。

と書きました。

実は、前回の記事のアイデアを出したとき、

そういえば、気分転換のつもりでやったことで逆に状況が悪くなったことがあったな・・・と思い出し、

「良くない気分転換」のアイデアも書き出していたのです。

ということで今回は、前回の記事とは表と裏、光と闇の関係にある、「状況を悪くしてしまう、避けるべき気分転換」のワースト10を挙げてみます。

 

1.お酒を飲む

私自身、お酒は大好きですが、行き詰ったときの気分転換として飲むことは止めました。

お酒で酔っ払っても、行き詰まっている現状を打開するための良いアイデアは出てきませんし、状況を良くする行動へのモメンタムも生まれないからです。

せいぜい、酔った勢い(モメンタム)で、深夜に締めのラーメンを食べるくらいです・・・

 

2.寝る直前に食べる

モノゴトが思い通りに進まないときは、せめて大好きなお酒と食べ物を楽しんで、ほろ酔いのまま眠りにつきたくなりますが・・・

締めのラーメンに限らず、寝る直前の食事(と飲酒)は、睡眠の質を下げることが分かっています。

「直前」の目安は、だいたい寝る前の2〜3時間。胃での消化活動がほぼ終わったタイミングで眠りにつくのが理想的です。

これより短いと、本来はアタマと身体を休めるための睡眠中に、消化活動や肝臓での解毒活動が続きます。

疲労が十分に回復できないだけでなく、消化不良の原因にもなり、翌日のパフォーマンスが落ちてしまいます。

 

3.衝動買いをする

行き詰った状況では、思考力だけでなく、判断力も落ちています。

そんな時の私たちの脳は、モノゴトを深く考えることを拒み、第三者からの煽動・誘導に乗ってしまいやすい状態になっています。

ウェブやテレビ、あるいは店頭で「お買い得ですよ!」とか「期間限定!」などといった煽り文句につい反応してしまい、冷静に考えれば必要のないものを買い込んでしまいます。

厄介なことに、モノを手に入れるという行為は一種の達成感を生み出すため、脳は何事かを成し遂げたかのように錯覚するのですが・・・

モノが増えても、次の行動を生み出すモメンタムは生まれないことがほとんどなのです。

 

4.ゲーム(特にスマートフォン)をする

ここ数年、スマホゲームのテレビCMが目立ちますが、多額の広告費を使えるのは、これらのゲームが強い依存性を持っている(そして、多額の課金をするユーザーが多い)ことの表れです。

ゲーム専用機でも同じように、強い依存性を持つゲームがたくさんあります。

強い依存性(あるいは中毒性)を持つものは、次の行動へのモメンタムを生み出す「良い気分転換」にはなり得ません。

行き詰まっている現状が、依存性の強いゲームのせいで、さらに悪化していく一方です。

 

5.パチンコ、競艇などのギャンブルをする

あらゆるギャンブルにも、強い依存性があります。

たまに大勝ちしたりすると、さらに依存度が高まっていきます。

最近のスマホゲームの「ガチャ」と同様に、射幸心を煽ってくるものも、良い気分転換にはなり得ません。

他人が作ったルールに振り回され、目先の勝ち負けに一喜一憂し、自分のチカラで変えられる現状へのフォーカスを失うだけです。

 

6.喫煙する

嗜好品としてのタバコ、葉巻の存在は否定しませんが、気分転換としてはお薦めできません。

煙に含まれる一酸化炭素は、体内に取り込まれて酸素の運搬を妨害します。一服して気分がスッキリしたつもりが、実際には軽い酸欠状態をつくり出しているのです。

また、喫煙による血行障害も、心身のパフォーマンスに悪影響を与えます。

行き詰った状況から抜け出すために、喫煙が与えるプラスの影響は、まったくありません。

同じ時間を使って、オフィスや家の周りをジョギングしてくる方が、はるかにアタマの働きを良くしてくれます。

 

7.白砂糖が入ったスイーツを食べる

気分転換に甘いモノを食べたいときは、食べるものを慎重に選ぶ必要があります。

原材料に白砂糖を含むお菓子は、食べているときと食べた直後は心地いいのですが、しばらく経つと急に眠くなったり、気分が浮き沈みすることがあります。何日も食べ続けると、その症状がさらに強くなってきます。

Google検索で「白砂糖 影響」と入れると、白砂糖を摂ることで生じる悪影響を説明しているサイトがたくさん出てきます。詳しく知りたい場合はそちらを参照してください。

どうしても甘いモノを食べたい場合は、砂糖や人工の甘味料を含まない、ナチュラル・フルーツにしましょう。

 

8.インターネットコンテンツに没頭する

はっきりとした目的を持って、リサーチや勉強のためにプレゼンテーションやセミナーの動画を観るのは「良い気分転換」になり得ます。

しかし、掲示板サイト、動画や生放送、映画・ドラマ見放題サービスなど、受け身の姿勢で消費できるネットコンテンツは、単なる現実逃避になりがちです。

特に、意志をコントロールする力が弱まっている状態では、惰性で観続けてしまい時間をムダにするリスクの高いコンテンツは避けるべきです。

 

9.テレビを観る

インターネットコンテンツと同じ理由で、惰性で観続けるための仕掛けが随所に組み込まれているテレビ番組も避けるべきです。

また、番組やCMには、衝動買いを促すための仕掛けも溢れています。

とは言え、悪いことばかりではなく、中には優れたテレビ番組も存在していますが・・・

リサーチや勉強にも使える水準の、しっかりと作りこまれて情報量が豊富なドキュメンタリー番組であっても、録画したものを早送り再生(1.3倍速など)で観たほうが効率的です。

 

10.ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に没頭する

他人からの「認知」。

SNSに組み込まれた、依存性を生み出す仕組みです。

自分の投稿に他の人からの「いいね!」が付くと、気分が高揚する脳内物質が分泌されて嬉しくなり、同じような認知が欲しくてまた投稿していまう・・・そのサイクルが延々と続いていくのです。

世界中の人たちとつながることが可能なSNSが、使い方によってはとても便利なツールであることは間違いありません。

しかし、モメンタムを生み出すための気分転換の方法としては、向いていないのです。

 

* * *

 

一般的に「気分転換」の方法とされていることでも、実は単なる現実逃避であり、前向きなエネルギーを生み出していないものがあります。

誰もがやっているからという理由で真似するのではなく、「これは自分にとって良い気分転換になっているだろうか?」と自分自身に問い続けることが、心身のパフォーマンスを上げるためには欠かせません。

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。