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思考の「抽象度」を制するものが、場を制す

 

すこしだけ、僕の自慢話をさせてください。

僕は中学のころ、学年トップの成績で天狗になって、周りのオトナたちにこう言ったことがあります。

「鹿児島のラサール高校を受験したい」

皆、呆然として黙るだけ。

僕の周りのオトナたちには、富山の片田舎から、県外、しかも日本有数の進学校を受験するという(気違いな)視点はありませんでした。

 

人を操っている「思考の抽象度」

 

僕は結局、だれからも賛同と支援を受けられずに、地元の県立高校に進学しました。

僕の発言は、あまりにも「抽象度」が高すぎて、周りのオトナたちにはリアリティが感じられなかったのです。

 

「抽象度」とは、脳機能学者の苫米地英人氏がよく使う概念で、「情報空間における視点の高さ」を指します。

抽象度が上がるほど、包括される情報量が大きくなることを意味します。

例えば「犬」という概念の抽象度を上げたときの一例は「犬」⇒「哺乳類」⇒「脊椎動物」⇒「地球上の生命体」となるわけですね。

抽象度が上がるほど、モノゴトを広い視野で捉えることになります。逆に、抽象度が低ければ(つまり、より具体的になればなるほど)、触れる情報、目にする世界が限られます。

つまり、自らが情報空間において抽象度をコントロールするパワーを持てば、他の人の思考をコントロールすることも可能なのです。

 

「思考の抽象度」は依存を生み出す

 

そのような思考の抽象度の操作で成立しているビジネスの一例は、「スクールビジネス」や「講師ビジネス」です。

講師は、生徒や受講生に対して具体的な発言、つまり抽象度の低い思考を求める一方で、自らは抽象度の高い視点から議論をまとめたり、講義全体の流れを創ります。

意図的に抽象度を操ることで、生徒や受講生の思考を一時的に混乱させて、自分の発言の影響力を増すというテクニックもあります。

例えば、次のような具体→抽象→具体という展開です。

 

「もし一切の制約がなかったとしたら、何をやってみたいですか?どんなものを手に入れたいですか?」(具体的に考えさせる)

「その目標は、すべて叶えられるんですよ!あなたは自分自身に制約をかけて、叶えるためのやり方を知ろうとしてなかったんです!」(抽象度を上げて、聞き手を戸惑わせる)

「なので、これからお話する7つのポイントをしっかり実践してくださいね。」(具体的な指針を示して、聞き手の戸惑いを消す)

 

こういうやり取りを通じて、教える側と教えられる側の関係性を受講者の意識にすり込み、講師に対する依存心を植え付けてリピート率を上げるのが、講師ビジネスにおける常套手段の一つなのです。

 

自分の手綱は自分で握りしめる

 

中学生の僕には抽象度を操作するテクニックはなく、「ラサール高校を受験したい」という突拍子もない発言で、周りのオトナを混乱させただけでした。

その発言のあとで「僕がラサール高校に進学できれば、あなたにも◯◯というメリットがありますよ。ぜひ協力していただけませんか?」などと具体的にたたみ掛けていれば、違った展開があったのかもしれませんが。

まぁ、そんな駆け引きをしてくる中学生など、うっとうしいだけですけどね(^-^)

 

思考の抽象度は、誰かにコントロールされるより、自分でコントロールするほうが良いのは当然です。

面白いアイディアが出てこないとか、思考が煮詰まってしまったときには、「いま自分は、どの抽象度にいるのか」を意識してみてください。加えて、誰か他の人から、自分の思考の抽象度がコントロールされていないかどうか、しっかり自省することも有効です。

自分の意志で抽象度を上げたり、下げたりして、新しい視点からモノゴトを見つめてみてください。きっとユニークなアイディアに出会えるはずです。

 

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Published in 発想