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ランチェスター戦略に学ぶ!ゼロから小さく勝ち続けて海外事業の業績を伸ばす方法とは?

 

はじめに

海外への事業展開を行うときは、まったくのゼロからのスタートになることがほとんどです。

日本市場ではお客さんからの信頼を得て、それなりの業績を上げていても、海外市場では、まったくの「弱者」として、市場に乗り込んでいくことになります。

いったい、どうすれば勝機(商機)が見いだせるのでしょうか?

日本で生まれた「ランチェスター戦略」が、一つのヒントになります。

 

ランチェスター戦略の生い立ち

ランチェスター戦略は、もともと、第一次世界大戦での戦いを元に導き出された2つの軍事的法則がベースになっています。

  1. 一騎打ちの法則:一騎打ちの場合、武器の性能が同じなら、戦闘力は兵力(兵士の数)に比例する。
  2. 集団戦闘の法則:互いに相手の部隊に無差別に発泡する集団戦闘の場合、武器の性能が同じなら、戦闘力は兵力の2乗に比例する。

この2つの法則を経営戦略に応用したものが、ランチェスター戦略の基礎となります。

  1. 弱者の戦略:強者と正面から戦うのを避けて、局地戦・接近戦を挑む。
  2. 強者の戦略:弱者との接近戦を避けて、間接的・遠隔的な集団戦闘を挑む。

 

ランチェスター戦略の特徴

世間でよく知られている経営戦略のほとんどは「強者」向けに作られたものです。

一方で、ランチェスター戦略は、低い市場シェアを持つ企業が「生き残る」ための方法論を説いているところが最大の特徴です。

  • 利益ではなく、市場シェアの拡大を追求して、持続可能性を重視する。
  • マーケットを小分けにして、段階的に、より高い目標を達成していく。
  • 過大な目標や努力を求めず、現在持てるチカラに応じた数値目標を設定する。

弱者のための戦略」という表現がピッタリ当てはまるのが、ランチェスター戦略なのです。

 

市場シェアを高める競争原理とは?

ランチェスター戦略では、市場シェアを高めるための実践的なアプローチが説かれています。

弱者ならではの「選択と集中」で、焦らずに小さい勝ちを積み重ねていくことが、生き残りのポイントです。

ナンバーワン主義

市場を細かく分解(セグメント)して、自社がナンバーワンになれる、あるいは既になっている「得意分野」を見つける。どんなに小さくても構わない。それを起点にして、ナンバーワンの領域を広げていく。市場を分解するときの切り口は、地域、商品・サービスの特性や対象、お客さんのデモグラフィック属性など、測定可能なものならなんでも構わない。

競争目標と攻撃目標の分離

自社の競争目標は、市場シェア率で自社と同じくらいか、あるいは少し上にある企業。自社の攻撃目標は、自社より市場シェアが低い企業。「弱い者いじめ」を徹底する。

一点集中主義

目標を一つにしぼり、持てるチカラの全てを集中して、短い期間で決定的な実績を上げる。

 

フォードとゼネラル・モーターズ(GM)の明暗

このランチェスター戦略とよく似た戦略を活用して、倒産寸前の状態から、逆に強大なライバル企業を市場トップの座から蹴落としたのが、アメリカのGMです。

1900年代のはじめ、フォードは黒一色の「T型フォード」を大量生産し、市場に投入。台数シェアは55%にも達しました。

黄金期を迎えたフォードに対し、倒産寸前の状態にあったGMは「事業部制」を導入し、フォードに戦いを挑みます。

それぞれの事業部が、ビュイック、シボレー、ポンティアック、キャデラックなどの異なるテイストの車を、それぞれ異なる顧客層に向けて、しかも車体の色も数種類選べるようにして、売り込んでいったのです。

消費者は、黒一色のフォードから、カラフルでバラエティに富むGMへと、乗り換えるようになりました。

その結果、1945年には、フォードの台数シェアは全盛期の3分の1以下、17%にまで低下。

GMは、市場の分解で自社が勝てる分野を創り出し、細分化したそれぞれの市場に集中したことで、市場シェアを着実に奪っていったのです。

 

スケール「デメリット」発想を海外事業に取り入れる

ランチェスター戦略のコンセプト、そしてGMが採った戦略から、日本企業(その中でも特に、中小企業)が海外で事業展開を行うときに、活路を見いだせるポイントが見えてきます。

大きさを追求する「スケール・メリット」ではなく、小さいことに価値を見出す「スケール・デメリット」の発想が、着実に市場シェアを稼ぐヒントになります。

小さい市場にフォーカスする

すでに地元の有力企業が牛耳っている大きな市場、成熟した市場にいきなり参入するのは、強者との正面からの戦いになります。

規模が小さく、これから成長しそうな市場にターゲットを絞って参入し、小さい競合他社を一つ一つ攻略していけば、その分野でのナンバーワンが狙えます。

小口の顧客にフォーカスする

最初から大口顧客を狙うと、激しい競争に巻き込まれます。価格の引き下げ圧力も高く、事業の安定成長が見込みにくい状態になります。

小ロットでも、自社商品・サービスの本来の価値を見い出してくれる顧客との関係をしっかりと育てていけば、着実な顧客ベースの拡大につながります。

低額の商品・サービスにフォーカスする

まだ信用がない新規参入の企業にとって、新規顧客の開拓でいきなり高額の商品・サービスを売り込むのは、かなりハードルが高い行為です。

低額の商品・サービスをしっかりと提供して、小さな信頼を積み重ねていくことが、将来の大口受注につながります。

 

まとめ

軍事論をベースに編み出された、「弱者のための戦略」であるランチェスター戦略。

このエッセンスは、国内市場でのシェア拡大にとどまらず、海外市場への進出においても活用できます。

「海外進出」というと、つい大きく考えてしまいがちですが、進出初期の段階においては、逆に市場をどれだけ「狭く」定義できるかが、しっかりとした事業基盤を作るためのカギです。

「大」から「小」への発想の転換で、海外事業の着実な拡大を実現させましょう。

 

参考書籍:『ランチェスター思考 競争戦略の基礎』福田秀人(著)ランチェスター戦略学会(監修)

 

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