選ばれるビジネスを生むアイディアのつくり方 – (5)引き出す

発想

 

こんにちは、廣世悟です。

 

お客様に選んでもらえるビジネスを創り出すためのアイディア発想法として、「足す」「引く」「掛ける」「割る」の基本4パターンを解説してきました。

これらは、『アイデアのつくり方』の著者ジェームズ・W・ヤングが説いている【アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない】という一節の、「組み合わせ」に対応するものです。

 

今回のテーマは、「既存の要素」を引き出す方法です。

要素をたくさん引き出せれば引き出すほど、「新しい組み合わせ」が増え、「良い」アイディアが生まれる可能性が高まります。

 

まず、要素をたくさん出すときには、「クオリティ」を意識しないことが、最も大切です。

アタマに浮かんだことを、編集したり、加工したり、修正したりせずに、そのまま書き出していきます。

バカバカしいものや、面白くないもの、あり得ないもの、人には見せられないもの(?)などなど、いろいろと出てきますが、気にせずに。

5分で30個書き出すとか、タイムトライアル的に取り組むと、「クオリティ」へのこだわりを捨てやすくなります。

 

世界的な作家であるダニエル・ピンク氏も、来日講演の際に、まずは「たくさんの」アイディアを出すことが大事だと力説しておられました。ピンク氏でさえも、日々多くの「バカげた」アイディアを出している、とも。

 

既存の要素を出すときの「切り口」は、たくさんありますが、今回は3つだけ紹介します。

 

  • 【ずらす】現在の商品・サービスの特徴、使い方、典型的な顧客像、購入する(あるいは使用する)時間・時期、使用するための条件などなど、既に分かっている様々な事柄を、少しづつ変えてみる方法です。まったく正反対のものに変えるのもありです。例えば、メインのお客様が30代女性だったとして、これを「50代女性」「10代女性」あるいは「30代男性」と置き換えると、どういう商品・サービスになるのかを考えてみるのが、「ズラす」の一例になります。
  • 【連想する】まず、現在の商品・サービスの特徴や印象を「一言」で表します。その言葉から連想される言葉を、紙に書き出します。書き出した単語から連想される単語を、また紙に書き出して、同じ作業を10~20回繰り返し、言葉のリストを作ります。一番最後に出した言葉から順に、現在の商品・サービスと組み合わせていき、どのように変わるか・変えられるかという視点で、さらに発想を広げていきます。
  • 【ランダム】ポストイットを6枚用意するか、紙を6等分に切り分けて、1~6の番号を振ります。手元にある新聞や雑誌の記事をランダムに選び、そこで目についた言葉やコンセプトを6つ、書き出します。サイコロ(あるいは鉛筆に1~6の番号をふったもの)を振り、出た目に対応する言葉やコンセプトと、アイディアを出したいテーマ・問題を組み合わせて、発想を広げていきます。

 

実践してみると分かるのですが・・・それはそれは、バカバカしい組み合わせのアイディアがたくさん出てきます。

でも、バカバカしいアイディアを出すことは、「失敗」ではありません。むしろ、これこそがアイディア出しの醍醐味であって、普段は絶対に思いつかないアイディアに触れることで、脳は活性化して、さらにアイディアが出せるようになります。

 

創造力を殺してしまわないように、「アイディアを出しているときには、アイディアの良し悪しを判定しない」という鉄則に従って、ひたすら「次」を出し続けましょう。

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。