【ビジネスモデル】Palantir Technologies

ビジネスモデル

 

久しぶりのビジネスモデル分析は、高度なデータ解析を強みにする、Palantir Technologiesを取り上げます。

 

【事業概況】

創業は2004年で、シリコンバレーのPalo Altoに本社があります。テロ活動や犯罪・不正行為を暴くためのデータ分析を行うソフトウェアの開発・提供を行なっています。

提供しているデータ解析システムは、元々はPayPalの不正行為検知システムをベースにしており、その後、米国情報機関(CIA)とのタイアップで開発が進んだという代物です。

主要顧客は、FBICIA、Recovery Accountability and Transparency Board(景気回復法説明責任・透明性委員会)、Information Warfare Monitor(サイバー・セキュリティ監視プロジェクト)といった公的機関に加え、銀行、金融サービス会社、ヘッジファンドなど。Information Warfare Monitorでは、中国に拠点を置くと言われている複数のサイバー諜報機関による、ダライ・ラマ事務所とインド国防機関へのハッキング活動が、Palantirのソフトウェアで摘発されています。

 

【収益構造】

財務情報は一切公開されていませんが、同社のソリューションは、ソフトウェアだけで完結するものではなく、そこにデータ解析者の知見や経験が要求されることから、コンサルティングとパッケージ化した形態で、クライアントにサービスを提供していると推測できます。

 

【特異性】

Palantirは、民間企業でありながら、国家間レベルの問題を解決するソリューションを提供しています。

事業内容からして、とってもお固い会社のイメージがありますが、同社の会社案内ページを見ると、カジュアルなファッション、壁面がペインティングされたオフィス、様々な課外活動など、典型的なシリコンバレーのベンチャー企業です。オフィスにペットを連れてくるのも構わないようです。また、同社の社員は入社時に、即興演劇の教本(Impro: Improvisation and the Theatre)を読むように指示されるそうです。

社員のクリエイティビティを刺激しながら、データ解析技術の高い信頼性を一段と磨き上げているところが、同社のきわめてユニークな特徴です。

 

【究極のベンチャー企業】

Palantirは、その成り立ちからして変わった存在ですが、同社は「事業分野の絞り込み」という、すべての起業家にとって必要な鉄則を、忠実に踏襲しています。

不正行為・犯罪行為の解析という自社の存在意義から全くブレないままで、その目的を達成するために、あらゆる技術とクリエイティビティを駆使する。同社の”Our three guiding ideas”にも、その姿勢が現れています。

  • The best idea wins (最高のアイディアが勝つ)
  • Nothing is permanent (永遠のものなどない)
  • Keep focused on the mission (使命に集中し続けろ)

大きなミッションに、無数のアイディアで挑み続ける。それを実践し続けているPalantirは、常にお手本とすべき、突き抜けた存在のベンチャー企業です。

 

神戸を拠点に活動するビジネスコンサルタント。アメリカでの7年間の勤務経験を含め、これまで色々な業界で、30を超える国・地域でプロジェクトに関わる。遊びで始めたInstagramへの投稿がきっかけになり、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしても活動。